人が執務を行なうオフィスフロアにサーバなどのコンピュータを設置する場合においては、夜間や休日など室内に人がいない時でも、室内のサーバの冷却のため、空調機を稼動させる必要があります。このため、人がいないにもかかわらず空調機の運転を行なうそもそもの無駄が生じるほか、サーバのみを冷却するために空調機を低稼働率で運転することになり、ここでも電力の無駄が生じています。 (空調機は一般的に低稼働率の場合には電力効率が悪くなります、つまり自動車で言えば燃費の悪い状態に相当します)
また、オフィスでは、室内全体を冷やすため、空調機から熱源(サーバ)に対して冷気を送るための送風経路が長くなります。このため、空調機の送風ファンの電力を必要以上に消費しているほか、窓からの日射など建物外から侵入する熱により冷気が暖まってしまう、あるいは冷気がサーバに届く前にサーバの排気熱と混ざってしまい効率が悪くなるなどの問題があります。
サーバを収容する専用の建物であるデータセンターは、こうした問題を解決して設計されており、最も少ないエネルギーでサーバなどのコンピュータ機器を設置することが可能となっています。
(データセンターの空調方式(例))
データセンターはサーバなどコンピュータ機器を冷却するために、データセンター専用の空調機を設置しています。また、万一の停電時のために無停電電源装置(UPS)を備えています。これらデータセンター専用空調機、UPSの省エネ技術は、日本が最も進んでいます。
例えば、空調機の例(左のグラフ)は空調機の冷却効率であるCOP値の推移を示したものです。COP値(Coefficient Of Performance)は動作係数(どうさけいすう)ともいい、冷房機器などのエネルギー消費効率の目安として使われる係数で空調機の消費電力1kWあたりの冷却・加熱能力を表した値です。これによると、日本の空調機は平均でCOP値が約5となっており、これは世界でもトップクラスの省エネ効率を誇っています。
そのほか、UPSも最近では電力効率は90%を超えるものが製品化されています。
このように日本国内のデータセンターはそのような優れた省エネ空調機、UPSを積極採用することで、CO2削減に大きく貢献しています。
データセンターを利用する企業にとってのメリットを整理すると以下の通りです。
専門施設での
集合効率運用
費用科目の変更
(better Port Folio)
CO2排出規制対策
今後日本の企業がさらに国際競合力を強化するためには、ITを経営強化に積極的に活用することが必要となりますが、そのためにはデータセンターの積極活用を推進するべきであると考えられます。
従来のコンピュータの利用形態は、ユーザー(企業、個人など)がコンピュータのハードウェア、ソフトウェア、データなどを、自分自身で保有・管理していたのに対し、クラウドコンピューティングの時代では「ユーザーはインターネットの向こう側からサービスを受け、サービス利用料金を払う」形になります。
つまり、情報システムを利用するに当たり、自社管理下にある設備に機材を設置し、ソフトウェアを配備・運用する形態、いわゆる従来のオンプレミスは今後少なくなり、かわってデータセンターに企業の情報システムが設置される形態にシフトしていきます。
今後企業が今まで以上に成長するためには、クラウドコンピューティングを積極活用していく必要があり、実際に一部の企業では既に活用が始まっています。
反面、クラウドコンピューティングを企業が活用するには、いくつかのリスクが潜んでいます。
以下にガートナーがまとめたリスクを示します。
(ガートナーの提言)
注意すべき「7つのセキュリティ・リスク」(ガートナー)
ガートナーが指摘しているものは、主にデータのセキュリティ、コンプライアンス、内部統制面、事業継続などの観点の課題であります。
したがって、これからクラウドコンピューティングを積極活用しなければならない企業のお客様に対し、我々データセンター関連事業者はこの課題を真摯に受け止め、お客様に安心して使っていただけるデータセンターを目指して、更なる努力が必要と考えられます。
クラウド時代の到来にむけ、競争力を確保するには国内データセンターの積極活用が必要。が課題も多い。
ただし、日本国内のデータセンターについて言えば、前頁にある課題はある程度解決されます。
日本のデータセンターのメリットとしては、下記の点が挙げられるためです。
一方、上記のメリットを有しながら、課題もあります。
このような課題を解決すべく、我々はJDCCを発足しました。