データセンターの効用

建物の利用によるエネルギー効率化

  • オフィスでは、夜間や休日など室内に人がいない時でも、室内のサーバの冷却のため、空調を行っているところがあります。
  • このため、夜間や休日には、効率が悪い低稼働率領域で空調機器を運転しています。
  • オフィスでは、室内全体を冷やすため、送風経路が長くなる、窓からの日射など建物外から侵入する熱が大きい、室内で冷風がサーバに届く前にサーバの排気熱と混ざってしまうなどの問題があります。
  • サーバを収容する専用の建物であるデータセンターは、こうした問題を解決して設計されており、最も少ないエネルギーでサーバを稼働できる施設です。

人が執務を行なうオフィスフロアにサーバなどのコンピュータを設置する場合においては、夜間や休日など室内に人がいない時でも、室内のサーバの冷却のため、空調機を稼動させる必要があります。このため、人がいないにもかかわらず空調機の運転を行なうそもそもの無駄が生じるほか、サーバのみを冷却するために空調機を低稼働率で運転することになり、ここでも電力の無駄が生じています。 (空調機は一般的に低稼働率の場合には電力効率が悪くなります、つまり自動車で言えば燃費の悪い状態に相当します)

また、オフィスでは、室内全体を冷やすため、空調機から熱源(サーバ)に対して冷気を送るための送風経路が長くなります。このため、空調機の送風ファンの電力を必要以上に消費しているほか、窓からの日射など建物外から侵入する熱により冷気が暖まってしまう、あるいは冷気がサーバに届く前にサーバの排気熱と混ざってしまい効率が悪くなるなどの問題があります。

サーバを収容する専用の建物であるデータセンターは、こうした問題を解決して設計されており、最も少ないエネルギーでサーバなどのコンピュータ機器を設置することが可能となっています。

(データセンターの空調方式(例))

  • サーバの負荷に応じた空調コントロールの実施
  • 冷気を効率よく最短経路でサーバまで送り届ける搬送方式の採用(フリーアクセスフロアの採用)
  • 暖気と冷気を分離した配置レイアウト(ホットアイル/コールドアイル分離)

専用設備の利用によるエネルギー効率化

  • 旧式の設備で空調効率の悪いオフィスからサーバを、最新の空調設備・電源設備を備えたデータセンターに移設することで、空調や電源による電力消費を大幅に削減することができます。

データセンターはサーバなどコンピュータ機器を冷却するために、データセンター専用の空調機を設置しています。また、万一の停電時のために無停電電源装置(UPS)を備えています。これらデータセンター専用空調機、UPSの省エネ技術は、日本が最も進んでいます。

例えば、空調機の例(左のグラフ)は空調機の冷却効率であるCOP値の推移を示したものです。COP値(Coefficient Of Performance)は動作係数(どうさけいすう)ともいい、冷房機器などのエネルギー消費効率の目安として使われる係数で空調機の消費電力1kWあたりの冷却・加熱能力を表した値です。これによると、日本の空調機は平均でCOP値が約5となっており、これは世界でもトップクラスの省エネ効率を誇っています。

そのほか、UPSも最近では電力効率は90%を超えるものが製品化されています。

このように日本国内のデータセンターはそのような優れた省エネ空調機、UPSを積極採用することで、CO2削減に大きく貢献しています。

利用者から見たメリット

データセンターを利用する企業にとってのメリットを整理すると以下の通りです。

  • 1つは、情報セキュリティーの観点。データセンターというコンピュータを設置するための専用施設で集約運用を行なうことで、強固なセキュリティを確保することができ、内部統制や情報漏洩に対する施策の強化を行なうことが可能となります。また、地震などの災害対策の観点においても、強固な建物構造と地盤状況の良い立地などにより、BCP対策の観点からも有効です。
  • 2つは企業の経営強化の観点。サーバなどの機器まで含めITサービスとしてデータセンターにアウトソーすれば、アセットレス経営(オフバランス化)が可能となるほか、IT部門はサーバそのものの運用管理・トラブル対応などの課題から開放され、自社のコア領域のビジネスプロセス改革・新領域でのIT活用企画など本来の業務に専念でき、経営の強化を図ることが可能となります。
  • 最後に環境エネルギー対策の観点。サーバなどのIT機器が排出するCO2排出量削減が可能(CO2排出量の付け回しが可能)となるばかりでなく、機器更新のライフサイクルで発生する廃棄物の削減につながります。
1 情報セキュリティー
  • 内部IT統制・情報漏洩対策
  • BCP対策
>

専門施設での
集合効率運用

2 企業経営改革・改善
  • アセットレス経営
  • IT部門のアウトソース化
>

費用科目の変更
(better Port Folio)

3 環境・エネルギー対策
  • 電力消費量削減
  • 廃棄物削減
>

CO2排出規制対策

今後日本の企業がさらに国際競合力を強化するためには、ITを経営強化に積極的に活用することが必要となりますが、そのためにはデータセンターの積極活用を推進するべきであると考えられます。

日本のデータセンターのメリットと課題

データセンターをとりまく昨今の市場環境

従来のコンピュータの利用形態は、ユーザー(企業、個人など)がコンピュータのハードウェア、ソフトウェア、データなどを、自分自身で保有・管理していたのに対し、クラウドコンピューティングの時代では「ユーザーはインターネットの向こう側からサービスを受け、サービス利用料金を払う」形になります。

つまり、情報システムを利用するに当たり、自社管理下にある設備に機材を設置し、ソフトウェアを配備・運用する形態、いわゆる従来のオンプレミスは今後少なくなり、かわってデータセンターに企業の情報システムが設置される形態にシフトしていきます。

今後企業が今まで以上に成長するためには、クラウドコンピューティングを積極活用していく必要があり、実際に一部の企業では既に活用が始まっています。

クラウド活用にかかわるリスク

反面、クラウドコンピューティングを企業が活用するには、いくつかのリスクが潜んでいます。
以下にガートナーがまとめたリスクを示します。

企業がクラウドを活用するには下記の7つのリスクが存在する

(ガートナーの提言)

注意すべき「7つのセキュリティ・リスク」(ガートナー)

1.特権ユーザによるアクセス
従業員の情報をベンダに提供させ、特権を持つ管理者や彼らに対するアクセス監視/制御を行う必要があります。
2.コンプライアンス関連
通常のベンダであれば、基本的に外部の監査や安全性のチェックを受けていますが、この種の調査を拒否しているクラウド・ベンダもいるため、そうしたベンダには重要性の最も低いデータしか任せられない。
3.データの保管場所
「データの保管/処理は明確な法的権限に基づいて行われるのか」「現地のプライバシ保護規制に従うことを契約条件に盛り込めるか」と言った点を、ベンダに事前に確認しておく必要があります。
4.データの隔離
どのような方法で保管しているデータを隔離しているのかを把握しておく必要があります。
5.データの復旧
「完璧なリストアを実行するだけの備えがあるのか」「復旧までにどれくらい時間がかかるのか」をベンダに確認しておく必要があります。
6.調査に対する協力姿勢
特定の調査にベンダが協力するという条件を契約に盛り込む必要があります。ベンダがそうした調査を積極的に受け入れてきたという実績がある場合を除き、調査や証拠開示に対する要求はまず通らない。
7.長期に弥事業継続性
大手企業に買収や吸収合併(倒産)された後もデータを利用し続けられるよう、データの回収方法と、その際に利用するフォーマットが後継アプリケーションに移植可能なものであるか否かを確認しておく必要がありあます。

ガートナーが指摘しているものは、主にデータのセキュリティ、コンプライアンス、内部統制面、事業継続などの観点の課題であります。

したがって、これからクラウドコンピューティングを積極活用しなければならない企業のお客様に対し、我々データセンター関連事業者はこの課題を真摯に受け止め、お客様に安心して使っていただけるデータセンターを目指して、更なる努力が必要と考えられます。

日本のデータセンターのメリットと課題

メリット

  • 治安がよく政情不安定のリスク少
  • 電気供給・通信インフラが安定
  • 高品質な運用を担う人材が豊富

課題

  • 政府・自治体等の施策との連動強化
  • 電力消費やCO2排出の削減
  • 海外通信インフラの積極敷設 等
  • 国内事情にそぐわない海外発ガイドライン流布
  • データセンターに特化した人材育成・ガイドラインなし

クラウド時代の到来にむけ、競争力を確保するには国内データセンターの積極活用が必要。が課題も多い。

ただし、日本国内のデータセンターについて言えば、前頁にある課題はある程度解決されます。

日本のデータセンターのメリットとしては、下記の点が挙げられるためです。

  • 日本の治安は世界トップクラスであり、かつ民族・宗教闘争など政情不安のリスクも少ないため、テロや紛争などの脅威にさらされることは今後もほとんど考えられないため、事業継続の観点で優位にあります。
  • 日本国内の電力・通信インフラは世界でもトップクラスの高信頼・高品質を実現しており、安心して企業の重要なデータを預けることが可能です。
  • 日本人ならではの「おもてなし」「真面目」の精神を備えながら、技術力を持った品質の高い運用管理者を行なう優秀な人材が豊富であり、データセキュリティの観点からも企業がクラウドサービスを受けるにふさわしい環境にあります。

一方、上記のメリットを有しながら、課題もあります。

  • データセンターという事業は比較的新しく、産業カテゴリとして十分確立していません。このため、政府・自治体の施策との連動が不足しています。例えば今後一層の取り組み強化が必要なCO2排出量規制関連の施策において、データセンター事業の構造・特性が加味されないまま策定されつつあります。また、政府レベルで行なうべき海外と日本を結ぶ通信インフラの整備が十分ではないため、データセンター関連事業の国際競争力が失われている可能性があります。
  • 海外では環境配慮、事業継続の観点で、データセンター設置に対する規格・標準化が積極的に行なわれていますが、その内容が日本国内の事情(主にインフラの成熟状況や各種規制など)にそぐわない各種ガイドラインが整備されつつあります。このため日本国内におけるデータセンターの規格・標準化の活動活性化推進が必要です。
  • 優秀な人材が豊富なものの、データセンター運用管理者として必要なスキルセットとこれに基づく賃金体系、就業基準等が業界で確立されていないため、人材が集まり難くなっています。

このような課題を解決すべく、我々はJDCCを発足しました。