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DCの歴史と未来 活動ブログ:最終回

お久しぶりです!

半年ぶりのブログ公開となってしまい、大変失礼いたしました。

そして今回が最終回のブログとなってしまいますので、ご理解ください。

 

これまで、DCの歴史と未来チームでは1年間に渡りデータセンターの平成の歴史を紐解き、これからの令和のデータセンターについて考えるべく活動をしてきました。
活動の中で作成したブログやWebサイトなどを総まとめとしてご紹介します。


■ 「データセンター」「コンピューター」「インターネット」の平成史

そもそもデータセンタ―はどんな所なのか、何のために存在するのか。
歴史と技術を振り返る事で、データセンタ―の在り方がどのように変化してきたのかがわかりました。

 

ブログ記事 : DCの歴史と未来 活動ブログ2

 

しかしながら、インターネット等で調べて分かることは概要的な内容が多く、技術の内容やその時代背景などが分かりにくい。自主学習的に調べていくことに限界を感じ、有識者の方々をお招きし、お話を伺いました。学んだ内容を紹介したブログは下記URLよりご覧ください。

 

品川様との勉強会の様子 : DCの歴史と未来 活動ブログ3

市川様との勉強会の様子 : DCの歴史と未来 活動ブログ4

 

勉強会を踏まえて平成のデータセンタ―史を振り返ってみると、この30年でインターネットやコンピューターの技術が進歩し、それと共にデータセンターが進化してきたことがわかりました。

歴史と未来チームでは、これらの調査と勉強会の集大成としてWebサイトにまとめました。

 

平成史をまとめたWebページはこちら

 

現在、歴史と未来チームでは、今後の令和のデータセンターについて様々な業界がIT技術を通してデータセンタ―と結びついていく未来を考え活動していますが、ここを一つの節目として成果報告させていただきます。

今後もFuture Center内で引き続き、令和のデータセンターについて様々な可能性を「もっとおもしろい」業界にできる様に活動していきます。

 


■ 過去ブログ
futureadmin

DCの歴史と未来 活動ブログ4

前回のブログでは、IPコア研究所の品川様にご協力いただきました『平成の「データセンター」「コンピューター」「インターネット」を振り返る勉強会』で伺った当時の様子やこれまでの技術についてご紹介しました。
今回のブログでは、別の角度から当時の様子を知る有識者の方と共に開催した勉強会の様子をお伝えしたいと思います。


■ 平成の「データセンター」「コンピューター」「インターネット」を振り返る勉強会
第2弾!

今回は、株式会社市川技術士事務所の市川様にご協力をお願いいたしました!

Profile

株式会社市川技術士事務所  市川 孝誠 様

 

JDCC ファシリティ・スタンダード ワーキンググループのリーダーとしてJ-Tierの制定に貢献された方です。現在もデータセンターの建設コンサルティングで様々なデータセンターの建設設計に従事されています。


日本初の「データセンター」の建設に携り、最前線で業界の発展を支えていらっしゃる市川様。施設の建設が加速していく中、「コンピューター」と「インターネット」の発展を体験されていたのか、当時の様子やこれからの発展を予想されているのか、お話を伺いました。

■ 各視点で貴重なご意見をいただきました
  • データセンター編

    •  1995~2000年まで、金融や証券会社の電算機室の建設が盛んに行われていた。2003年には日本企業も本格的にデータセンター建設し、2008年から本格的な利用が開始された。
    • 同時期、1998~99年頃にアメリカ通信キャリアが日本にて通信ケーブルの引き込みを行っていた。そして、2000年日本国内にて外資系データセンターの建設ラッシュを迎えた。新築センターではなく、倉庫やオフィスを改築しセンターを作った。その際の電気容量は1kW/㎡、当時では信じられない様な容量だった。その後の2003年には、日本は地下配線をする上での規制・ルールが厳しく、建設を断念する企業が多くなり、外資系データセンターの建設は落ち着いた。
    • 2007年頃は、IDCのホスティングとハウジングが過剰供給時代だった。この床面積が余っていたのが解消されてきたのは、GAFAの台頭によってクラウドが普及され始めた2013年頃からであった。
    • 2011年 東日本大震災の時、データセンターの非常用発電機がしっかりと稼働していた。さらに、被災し損傷があった海底ケーブルや地上ケーブルを1~2日で修復した。(日本の技術はすごい!)
    • J-Tier制定の経緯は、アメリカの民間団体が作成した「Uptime Tier」を外資系企業が日本にデータセンターを作成する際に基準として提示していたが、その中にある2つの変電所からの電力引き込みを行う等、日本の制度や作法に合わないことが多かった。その為、日本のルールに則った仕様で冗長構成等の信頼性を示すために作成された。
    • 電気設備の変化はないが、電気容量が増加し専用の施設が必要になった。
      ラック毎の負荷は、1993年頃は500W、1998年頃には2kW、2003年頃には4kW、2008年頃には6kWと増加しており、現在は8~10kWを求められることが多い。
    • 空調設備は、2008年に6kW/Rackとなった頃に省エネ化を目指しはじめ、外気導入やコンテイメント(キャッピング)の導入・検討が始まった。
  • コンピューター編
    • 市川様が仕事でPCに触れ始めたのが1990年頃からだった。
    • 1995年頃までは、ワープロが一家に一台あったが、1996年からはMacとNEC98が発売され、普及し始めた。NEC 98は爆発的に売れ、それまでは特別な計算やデータ処理をするときに使用していたメインフレームから形勢逆転し、オフィスにも一人一台PCを設置される様になった。
    • 1995~1999年までは、IBMとユニシスが日本国内のシェアもほとんど取っており水冷サーバーが主流となった。国産メインフレームはあまり見かけなくなる。
    • 2006年NEC SIGMABLADEから6kW/Rackに設計が変わった。それまでは、2Uサーバーをラック一台当たりのラックマウントが多くても2kW/Rack程で済んでいたが、この時期を境にIT機器当たりの消費電力が増えた。
  •  インターネット編
    • 1998~99年にアメリカ通信キャリアが日本国内にて通信ケーブルを引き込んでいき、2000年には外資インターネット事業者が日本進出した。
    • 2001年頃には、通信速度がぐっと早くなった。

当時の裏話も含め、実経験としてのデータセンター歴史を知ることで、より深くそれぞれの技術の発展を知ることができました。
市川様、貴重なお時間を頂戴し勉強会にご協力くださりまして、誠にありがとうございました。


■ 今後の活動について

「ここまでの活動を通してメンバーそれぞれが独学で学んだこと」と「前回の勉強会で品川様から学んだこと」に加え、「今回の勉強会で市川様から学んだこと」の3点をまとめ、アウトプットとして皆さんに共有できればと考えております。今後も活動の進捗についてはブログで共有していきます。


■ 過去ブログ
futureadmin

DCの歴史と未来 活動ブログ3

前回のブログにて「データセンター」「コンピューター」「インターネット」の3つの視点から「平成」の歴史を学んだことをお伝えしました。しかしながら、学習を進めるうちに我々若手だけでは限界があると感じ、当時の様子をよく知る有識者の方に協力をお願いすることにしました。
今回のブログでは有識者の方と共に開催した勉強会の様子をお伝えしたいと思います。


■平成の「データセンター」「コンピューター」「インターネット」を振り返る勉強会

今回、我々はアイピーコア研究所の 品川 雅之 様にご協力をお願いしました!

Profile

株式会社IPコア研究所  品川 雅之様

 

「きれいな地球を未来へ」を企業理念に、企画開発を中心とした省エネルギーソリューションをご提供されています。JDCCの他にも、The Green GridやCloud Business Alliance、JEITAなどの幅広いレイヤーの業界団体にも参画されていらっしゃいます知識人であり、データセンター業界の大先輩です。

 

 

国内で「データセンター」の建築が加速していく中、「コンピューター」と「インターネット」の黎明期を業界の内側で経験された品川様。そんな品川様を講師としてお招きし、当時の様子やこれからどのような発展が予想されるかお話を伺いました。

 
 

■ 各視点で貴重なご意見をいただきました
  • データセンター編

システムが「分散」と「集中」を繰り返す中、データセンターは集中型で発展してきた。昨今、データセンターの分散化が叫ばれ、EDGEコンピュータが分散データセンターだと思われている。例えば自動車が「京」程度の能力とサーバ100台分を内蔵する時代はすぐに到来するだろう。しかし、それを分散データセンターとは呼ばないだろう。

また、データセンターで最も重要な課題はエネルギー消費と廃棄熱量である。今後のデータセンターの能力は1000倍、エネルギーは1/1000にすることを目指さなくてはならない。

 

  • コンピューター編

平成の30年間でコンピュータは約100万倍も性能が向上した。しかし量子コンピューターの実用化を除き、革新的な技術が新たに登場することはなかった。歴史を知らないが故に、過去の技術をさも最新の技術のように扱っていると感じている。例えば水冷やコールドプレートは30年前のメインフレームでは普通に使われていた技術である。

次の30年後は100万倍どころか更に向上し、10億倍〜1兆倍になるかもしれない。それらは今日では想像もできない全く新しい形態になっていると予想する。

 

  • インターネット編

30年前には皆が使えるインターネットは存在しなかった。Webの登場で世界は一変した。統一を行うと必ず対抗勢力が増加し、個別のアプリの時代に戻る。メール一つをとってみても110/25のメール、LINE、Messenger等々と分散し、かつての不便な時代に戻った。

点と点を結合する”線”は常に発展し、ついにSNSやブロックチェーンに代表される国家をも超える存在が出現した。インターネットにおいて量子コンピュータ的な従来とは異なる”線”が未だ出現していないが、10億以上もの処理をこなすためには第二、第三のインターネットが誕生しなければならないし、そうなっていくだろう。

いずれの視点も独学では得難い情報を数多くいただくことができました!我々若手の不躾なお願いを快く引き受けてくださった品川様、誠にありがとうございました。

 


■今後の活動について

「ここまでの活動を通してメンバーそれぞれが独学で学んだこと」と「今回の勉強会で品川様から学んだこと」。この二つをまとめあげ、アウトプットとして皆さんに共有できればと考えております。今後も活動の進捗についてはブログで共有していきます。


■ 過去ブログ
futureadmin